休職を繰り返す社員への対応

はじめに|「また休職か…」と感じたときに会社が考えるべきこと
本記事では、現役精神科医・産業医の立場から、休職を繰り返す社員への対応について、人事・管理職・経営者向けに実務的に解説します。
「復職したと思ったら、また休職」
「配慮しているのに、結局繰り返す」
休職を繰り返す社員への対応は、人事・管理職・経営者にとって非常に判断が難しいテーマです。
感情的な対応や場当たり的な判断は、職場の疲弊や法的トラブルにつながるリスクがあります。
本記事では、産業医の立場から
休職を繰り返す社員への実務的・再現性のある対応フローを整理します。
メンタルヘルスに強い精神科医・産業医へ直接ご相談いただけます
▶ お問い合わせはこちら※ 休職・復職支援に不安がある方へ:最短1週間で産業医の選任が可能です。全国対応のオンライン面談(休職・復職支援、ストレスチェック後面談等)も行っております。
休職を繰り返す社員が生じる主な背景

病状そのものの特性
- うつ病・双極性障害の再発性
- 不安障害・適応障害の環境依存性
- 発達特性による業務適応の困難さ
職場要因
- 復職後すぐに元の業務へ戻している
- 業務量・裁量・対人負荷が高い
- 上司や配置が変わっていない
👉 「本人の問題」だけで完結しないケースが多いのが特徴です。
休職を繰り返す社員への基本対応フロー【全体像】
対応の基本原則は以下です。
① 事実整理
② 主治医意見書の確認
③ 産業医による業務可否判断
④ 配慮内容の具体化
⑤ 復職後フォロー
⑥ 再休職時の再評価
※ 2回目以降の休職では、前回判断を流用しないことが重要
STEP1|事実関係の整理(感情を入れない)
確認すべきポイント
- これまでの休職回数・期間
- 復職後、再休職までの期間
- 過去に実施した配慮内容
- 現在の業務内容・配置
- 周囲への業務影響
なぜ重要か
- 後の判断や説明の根拠資料になる
- 「配慮してきた事実」を客観的に示せる
- 法的トラブル時のリスク回避
STEP2|主治医意見書の正しい読み方

よくある誤解
「主治医が復職可能と言っているから復職させるしかない」
これは誤りです。
確認すべきポイント
- 無条件の「復職可」か
- 条件付き復職か
- 業務配慮が具体的に書かれているか
- 再発リスクへの言及があるか
⚠️ 主治医は職場環境や業務実態を詳細に把握していない場合が多い点に注意が必要です。
STEP3|産業医面談による業務可否判断(最重要)
産業医が評価する視点
- 現在の症状の安定性
- 再発パターン(トリガー)
- 疲労回復力・ストレス耐性
- 業務内容との適合性
判断は3分類で整理
- 復職可
- 条件付き復職可
- 復職困難(休職継続)
👉 「復職可否」と「業務内容の可否」は分けて考えるのがポイント
メンタルヘルスに強い精神科医・産業医へ直接ご相談いただけます
▶ お問い合わせはこちら※ 休職・復職支援に不安がある方へ:最短1週間で産業医の選任が可能です。全国対応のオンライン面談(休職・復職支援、ストレスチェック後面談等)も行っております。
STEP4|配慮内容は必ず具体化・文書化する
NGな配慮表現
- 「無理のない範囲で」
- 「様子を見ながら」
- 「体調に応じて」
OKな配慮例
- 残業禁止(3か月間)
- 対人調整業務の除外
- 時短勤務(6時間/日)
- 月1回の産業医面談実施
📌 配慮期間と再評価時期を必ず明記
STEP5|復職後フォローを怠らない
フォローの基本
- 復職後1か月以内の面談
- 上司・人事との情報共有
- 本人の「大丈夫です」を鵜呑みにしない
重要な視点
- 再発は初期サインを見逃したときに起こりやすい
- フォロー不足=再休職リスク増大
STEP6|再休職した場合の再評価(2回目以降の考え方)
判断基準は厳格になる
- 同一配慮で再休職 → 配慮の限界
- 配置転換後も再休職 → 業務適性の問題
- 短期間で再休職 → 復職判断が早すぎた可能性
👉 「これ以上の配慮は困難」という判断が現実的になるケースもある
休職を繰り返す社員は解雇できるのか?

結論としては極めて慎重な判断が必要です。
- 休職=直ちに解雇は不可
- 十分な配慮・配置検討を尽くしたかが問われる
- 医学的・業務的に「就業困難」が明確かどうかがポイント
📌 産業医意見・対応記録の積み重ねが重要
産業医に相談すべきタイミング
- 2回目以降の休職
- 復職後3か月以内の不調
- 配慮の線引きに迷うとき
- 管理職が疲弊しているとき
普段の産業医業務を踏まえて
これまで数多くの休職者、復職者への面談を行ってきましたが、復職・休職時の対応は注意して行う必要があります。特に復職時に主治医の診断書書では通常通り勤務を可能とすると記載されていても、本当に職場復帰可能な状況のレベルまで回復しているのか、慎重に見極めていく必要があります。繰り返す休職の場合は、なかなか日本の雇用法の観点から安易に解雇することができないケースが多いように思えます。繰り返す休職者が発生して、対応に困っている場合は産業医面談はもちろん、社労士、場合によっては弁護士等の法律的な観点も踏まえて対応が必要になってくると思います。メンタル産業医センターでは求職者・復職者への面談も行っておりますのでお気軽にご相談ください。
メンタルヘルスに強い精神科医・産業医へ直接ご相談いただけます
▶ お問い合わせはこちら※ 休職・復職支援に不安がある方へ:最短1週間で産業医の選任が可能です。全国対応のオンライン面談(休職・復職支援、ストレスチェック後面談等)も行っております。
まとめ|「繰り返す」からこそ、仕組みで対応する

休職を繰り返す社員対応は、
個別対応ではなく「判断フロー化」することが重要です。
- 感情で判断しない
- 医学的評価と業務判断を分ける
- 記録と文書化を徹底する
これにより、
社員本人・職場・会社のいずれも守る対応が可能になります。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら
本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。
お問い合わせはこちら※ご相談内容により、返信までお時間をいただく場合があります。


