ストレスチェックテスト 高ストレス者の判断基準とは?

2025年度ストレスチェックテストの高ストレス者の判断基準を解説する産業医向けアイキャッチ画像
2025年度ストレスチェック制度の高ストレス者の判断基準を分かりやすくまとめた記事のアイキャッチ画像です。

はじめに

ストレスチェック制度では、一定の基準を満たす「高ストレス者」は 事業者による面談指導の申し出機会 を得られます。しかし、企業担当者からは次の質問をよく受けます。

  • 「高ストレス者って具体的にどう判断されるの?」
  • 「何点以上だと該当するの?」
  • 「実際の現場ではどう扱えばいいの?」

本記事では、産業医面談で最も重要になる“高ストレス者の判断基準” を、最新の制度内容に基づき分かりやすく解説します。また、現役精神科医・産業医の立場から、当該社員への対応について、人事・管理職・経営者向けに実務的に解説します。

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産業医面談、ストレスチェック、高ストレス者面談、意見書対応、 休職・復職判断まで、企業の安全配慮義務に直結する実務を 現役精神科医産業医の視点で体系的に解説した準主幹記事です。
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高ストレス者の判断基準はどう決まるのか?

仕事や職場対応について考え悩むビジネスパーソンのイメージ画像
判断に迷う場面こそ、冷静な視点と専門的な助言が求められます

高ストレス者判定は、厚生労働省の「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を基準として行われます。判定の仕組みは次の3つです。

①「ストレス反応」が一定以上高い場合

もっとも重要なのが ストレス反応(心身の不調) のスコア。代表的には以下の症状を問う項目です。

  • 疲れやすい
  • 気分が沈む
  • イライラする
  • 不安が強い
  • 夜眠れない
  • 身体の不調が続く(頭痛・肩こり・食欲低下など)

▶ この領域の点数が高いと、最も優先して産業医面談につなげる必要があります。

②「仕事の量・質」×「周囲のサポート」が悪い場合

ストレス反応が中程度でも、以下の2つが重なると高ストレス者扱いになります。

・仕事の負担が大きい(量・質・裁量度の低さ)

・上司・同僚のサポートが不足している

これらが同時に悪い場合、うつ病や適応障害に移行するリスクが高いため、面談指導が必要と考えられます。

③企業が独自基準を追加設定している場合

大企業では次のような 独自基準 を追加していることもあります。

  • 夜勤や長時間労働者はスコアが低くても面談対象にする
  • 過去にメンタル不調歴がある人は基準点を低くする
  • 管理職のみ別判定を行う

▶ 産業医としては、企業の就業構造に合わせて基準を柔軟に組み立てます。

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高ストレス者に該当するとどうなる?

①本人に結果が通知される

高ストレス者と判定されると、本人だけに個別通知があります(原則として会社には通知されない)

②本人が希望した場合、産業医面談が実施される

高ストレス者は、「面談指導の申し出」を行う権利がある。

③産業医による職場改善の提案

産業医面談の結果、必要に応じて以下のような改善提案を行えます。

  • 業務量の調整
  • 配置転換の検討
  • 時間外労働の短縮
  • ハラスメント調査の提案
  • 睡眠衛生や生活リズムの指導
  • 精神科受診の推奨

現役精神科産業医から見た「高ストレス者」のポイン

職場の課題やメンタルヘルスの気づきを象徴する電球のイメージ画像
職場での「気づき」や判断の重要性を象徴するイメージ

産業医面談を多数行っている立場からお伝えすると、以下が要チェックです。

✔ ストレス反応の高さ > 仕事量や業務内容

スコア判定上は「仕事の量・質」「上司のサポート」も入りますが、

最も見るべきは“ストレス反応そのもの” です。

✔ 高ストレス者スコアは必ずしも「重症」とは限らない

多くは軽度〜中等度。

ただし 環境要因 × 個人要因 が重なると急速に悪化します。

✔ 判定値だけでなく“本人の語り”が最重要

ストレスチェックでは見えない部分(家庭・介護・睡眠・飲酒・ADHD特性など)が面談で浮き彫りになります。

なぜ「高ストレス者」に早期対応が必要か

高ストレス者を放置すると、気分低下・注意力散漫・判断力低下などの症状が進行し、労働災害につながる可能性があります。 企業側においても、メンタル不調による休職・離職・生産性低下が経営リスクとなり、「安全配慮義務」の観点からも対応が求められています。 ストレスチェック後、面接指導を含むフォロー体制が整っていないと「せっかく発見した高ストレス者を活用できない」状態につながり、ストレスチェックテストを行う意味が軽減してしまいます。 

主幹記事(あわせて読みたい)
休職者対応だけでなく、未然防止や再発予防、職場環境の調整まで含めた企業のメンタルヘルス対策について、 産業医の実務視点からわかりやすく解説しています。

高ストレス者の産業医面談時に押さえているポイント

  • ストレスチェック結果だけでなく、勤務実態(残業時間・休日出勤・夜勤)・心理的自覚症状・既往歴(メンタル・身体)・生活習慣(睡眠・飲酒)**を併せて確認すること。
  • 結果が高ストレスと判定された社員には、早期に産業医面談・面接指導の案内をし、「相談しやすい環境」を整えること。
  • 集団分析結果を活用し、職場レベルでの改善(業務量調整・作業環境改善・上司教育など)を事業者と協議すること。
  • 判定基準やフォロー体制が適切に運用されているか、毎回振り返りと改善を行い、「制度が形骸化しない」ように管理すること。
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2025年に注目すべきストレスチェックのトレンド

重要なポイントをわかりやすく示す女性スタッフのイメージ画像
ここから押さえておきたい重要なポイントを整理します

判定の基準精緻化

2025年現在、ストレスチェックの判定においては、従来の「心身のストレス反応」だけでなく、「仕事のストレス要因」「周囲のサポート」という3領域の評価の組み合わせが重視されており、例えば「心身のストレス反応」の得点が一定値以上、または「仕事のストレス要因+周囲のサポート」の合計得点が一定値以上という二重基準が設けられています。 
引用:mediment ストレスチェック「高ストレス者」の判断基準や割合&放置しない正しい対処法

判定割合の目安は約10%

厚生労働省の資料では、全体の労働者のうち「高ストレス者」と判定される割合は約10%程度が目安とされている。ただし、事業者の規模・業種・個別の実施状況によりこの値は変動する。また、高ストレス者に対しての面談が実施されるのは体感としてはこの10分の1即ち、全労働者の約1% と思われます。

職場環境分析の深化と個人支援の強化

2025年には、ストレスチェックの結果を基に集団分析を使って職場環境改善を図る動きが加速している。例えば、「繁忙期」、「残業時間の多さ」、「職場の上司・同僚からの支援不足」などが職場レベルで可視化され、それを起点に産業医・保健師が介入・改善策を検討するケースが増えていると思われます。

まとめ:高ストレス者の判断基準は「点数+文脈」で決まる

高ストレス者=点数が高い人ではありません。

産業医が現場で見ているのは、

  • ストレス反応(心身の不調)
  • 仕事・人間関係の環境要因
  • 個人の語り・背景事情
  • 急性悪化の兆候(不眠・焦燥・被刺激性・欠勤増加など)

これらを総合して判断します。

企業としては、

  • 高ストレス者を“リスク”として扱うのではなく“早期ケアにつなぐ機会” として活用する

この姿勢が重要かと思います。

2025年度実施の高ストレス者への面談経験をふまえて

職場における思いやりや配慮、メンタルヘルス支援を象徴するハートのイメージ画像
従業員への配慮や支援の姿勢が、職場の安心感につながります

2025年度は多数の高ストレス者への面談を実施しました。その経験をふまえた感想等をお話しいたします。高ストレス者と診断される社員数は100名のうち10名程度と言われていますが、実際は業務や事業所によってばらつきがあるように思われます。高ストレス者が多い事業場、少ない事業場では高ストレス者に対してのケアを行っているかどうかによっても変わってくるように思われます。高ストレス判定を受けた原因が、人間関係、業務内容、労働時間等多岐に渡りますが、面談を通してストレス要因が何かを明確化することが重要であると考えます。心理学ではストレスの対処法としてはストレスの原因となるストレッサー、ストレス反応(ストレスへの感じ方、捉え方)、ストレス発散(例えば休日に旅行に行くなど)、それぞれに目を向けて対処していくことが重要と思われます。普段の面談でストレス要因を明確化し、高ストレス状態の改善策を企業側に報告書を通してお伝えしています。ストレスチェックに関しての依頼等がございましたら、お気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

Dr.Y(精神科医・産業医)

国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。 その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、 統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など 幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、 復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、 組織改善支援を行っている。

※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。

企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。

社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。

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