ストレスチェックと長時間労働の最新トレンド

2025年のストレスチェック義務と長時間労働の最新トレンドを説明する精神科産業医のイメージ画像
精神科産業医が解説する「2025年のストレスチェック義務と長時間労働の最新トレンド」

現役精神科医・産業医の立場から、当該社員への対応について、人事・管理職・経営者向けに実務的に解説します。

準主幹記事(あわせて読みたい)
産業医面談、ストレスチェック、高ストレス者面談、意見書対応、 休職・復職判断まで、企業の安全配慮義務に直結する実務を 現役精神科医産業医の視点で体系的に解説した準主幹記事です。

2025年、企業のメンタル不調が増える背景

人手不足と業務量増加による残業の増加

2024年〜2025年は人手不足や離職増加により、一部の社員に業務量が集中しやすい状況が続いています。残業が増えることで睡眠不足・慢性疲労が蓄積し、ストレス耐性が大きく低下する要因にもなります。特に若手層の退職が目立ち、部署全体の負荷が一段と高まっています。

若手社員の離職増加と管理職負担の増大

20〜30代の離職率は依然として高く、管理職が部下の穴埋めに追われて疲弊しているのが現状です。管理職のストレスが増加すると、部下への穴埋めに追われて疲弊します。管理職のストレスが増加すると、部下へのサポートが弱まり、部署全体のストレスレベルが上昇する負のスパイラルが生まれます。

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2025年ストレスチェックの最新トレンド

高ストレス者が増える(特に若手)

ストレスチェック義務化から10年が経過し、若い世代で高ストレス該当者が増加しています。筆者も高ストレス面談を行う件数が毎年増えています。背景には、業務量・裁量の少なさ・睡眠不足・コミュニケーション不足などが挙げられ、精神障害の労災申請件数も増加傾向にあります。

集団分析を「実務で使う流れ」が強まる

集団分析(部署別のストレス状況)は義務化されていないものの、2025年は「人員配置・部署運営・管理職評価の根拠データ」として活用する企業が急増しています。ストレスチェックの集団分析を通して
・離職率の高い部署の特定
・業務量の偏りの可視化
・上司の支援行動の見直し
等を行うと良いと思われます。ストレスチェックを経営指標として扱うようになってきていると言えます。

高ストレス者面談の「企業主導型」が当たり前に

以前は本人が申し出たら面談という扱いでしたが、2025年は企業側が積極的に勧奨する時代になりつつあります。
・面談率の高さが健康経営の指標に
・長時間労働との紐つけが強化
・面談拒否への説明記録が必要 等安全配慮義務としての必要性が以前に比べて増していると思われます。社内全体に高ストレス面談を受けるよう周知することが重要かと思います。また、匿名性を担保した上で行えるという配慮も同時に伝えると面談率向上につながると思います。筆者が担当する企業では匿名性を担保した健康相談のような形で社内に周知してもらい、前年度より希望者が向上した企業もございます。

長時間労働がストレスチェック結果に与える影響

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職場での「気づき」や判断の重要性を象徴するイメージ

業務量の多さが高ストレスの最大要因

全国のストレスチェック集計では、最も強いストレス要因は「仕事の量・質」と述べられています。月60時間〜80時間残業の層では高ストレス該当率が急上昇しています。筆者の経験でも、月60時間残業の場合はどうしても睡眠時間や余暇に使う時間を短縮しないといけなくストレス発散の時間も取れなくストレスが蓄積しやすい傾向にあると面談を通しても感じます。

睡眠不足はメンタル不調の決定的リスク

睡眠不足はうつ病・適応障害・不安症の発症率を2〜4倍に上げるとも言われています。そのため、長時間労働→睡眠不足→メンタル不調の流れは極めて強力です。2025年は「睡眠改善施策」導入企業が増加しています。

管理職のストレスが部下に波及するスピルオーバー現象

管理職が疲弊すると
・部下指導の質が低下
・部署の空気が悪化
・ストレス因子が連鎖といった問題が起こるため、近年は管理職のメンタル支援が企業の必須施策になっています。

2025年に企業が取り組むべき長時間労働対策

重要なポイントをわかりやすく示す女性スタッフのイメージ画像
ここから押さえておきたい重要なポイントを整理します

45時間を超えさせない運用が最重要

100時間超の残業ラインよりも月45時間超えた時点でメンタルリスクが高いことが判明しています。企業は45時間超えの社員に
・業務調整
・休暇取得促進
・管理職による業務棚卸しを強化する必要があります。

長時間労働者への産業医面談を強化

企業側主導で面談を依頼し
・睡眠状況
・業務過多
・不調の前兆(例えば眠れない、食事が取れない、気持ちが落ち込みやすくなった等)
を医師がチェックし必要な就業上の措置を講じることが重要です。

部署間の応援・業務分散が必須

特定部署だけが残業過多にならないように
・応援体制
・人員再配置
・業務優先順位の明確化が必要です。

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ストレスチェックの集団分析を実務で活かす方法(2025年版)

重点的に見るべき4指標

1 仕事の量・質
2 上司の支援
3 同僚サポート
4 睡眠の質 の4項目が悪化している部署はメンタル不調・離職のリスクが群を抜いて高い傾向にあります。

リスクマップを作成して改善に繋げる

2025年は、集団分析結果を「部署リスクマップ」にまとめ、
・管理職教育
・業務改善
・組織再編など経営判断に活用する企業が増えています。

高ストレス者面談の実施率向上が企業力高める

面談率の高い企業ほど
・離職率が低い
・上司の関わり方が改善
・組織の空気が良化といった研究結果が出ています。

▼ 関連記事:メンタル不調と産業医の関わりを知る

メンタル不調の兆候・休職・復職支援・産業医の果たす役割について、精神科産業医が丁寧に解説しています。

精神科産業医が企業にもらたす価値

高ストレス者への医学的評価が可能

精神科医として
・睡眠障害
・適応障害
・うつ病
・発達特性などを医学的に評価できます。

長時間労働の健康リスクを正確に判断できる

「どこが危険ラインか」
「どの業務調整が有効か」を医学的根拠に基づいて説明でき、企業側も納得しやすいメリットがあります。

集団分析を経営層が理解できる形に翻訳できる

精神科医✖️産業医の視点で、データを意思決定に使えるように噛み砕いて説明し、組織改善に直結する提案が可能です。

主幹記事(あわせて読みたい)
休職者対応だけでなく、未然防止や再発予防、職場環境の調整まで含めた企業のメンタルヘルス対策について、 産業医の実務視点からわかりやすく解説しています。

まとめ|2025年はストレスチェック×長時間労働対策の年|日々の面談を通して

職場における思いやりや配慮、メンタルヘルス支援を象徴するハートのイメージ画像
従業員への配慮や支援の姿勢が、職場の安心感につながります

2025年は企業にとってストレスチェック制度の活用と長時間労働対策が並行して重要になる年です。産業医として個人・組織の両面から支援することで企業の健康リスクを減らし、生産性向上・離職防止につながると考えます。2025年度は多くの高ストレス者、長時間労働者への面談を行いました。特に45時間以上を超えるとメンタル不調をきたすリスクが高くなると言われておりますが、実際の面談を通してもそのように感じており、長時間労働が漫然と続かないように業務調整等を行い、負荷軽減に努める必要があると思います。疲労を自分では感じていなくても、気づいていないところで疲労が蓄積しある日突然、やる気がなくなる、気持ちが落ち込むなどの精神症状が出てくる方もいます。ストレスはメンタル不調だけでなく、身体への影響(ストレスは糖尿病や高血圧のリスクとなる)もきたしますので、日々ストレスに対しての対策を講じることが重要と考えます。メンタル産業医センターでは長時間労働者、高ストレス者への面談等のご依頼も受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

Dr.Y(精神科医・産業医)

国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。 その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、 統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など 幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、 復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、 組織改善支援を行っている。

※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。

企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。

社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。

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