メンタル不調による離職コストの実態

メンタル不調による休職・退職は、 個人の問題として扱われがちです。 しかし企業側から見ると、 離職コストは想像以上に大きい経営損失になります。
「1人辞めただけ」と軽く考えていると、 採用・育成・現場負担・生産性低下が連鎖し、 組織全体に大きなダメージを残します。
本記事では、メンタル不調による離職が企業にもたらす コストの実態をわかりやすく整理します。
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メンタル不調による離職は増えている

近年、うつ病・適応障害・不安障害などによる休職や退職は増加傾向です。 特に若手社員では、 入社数年以内のメンタル離職が企業課題になっています。
離職が起きると「本人が弱い」で終わりがちですが、 実際には会社にとって大きな損失です。
離職コストとは何か
離職コストとは、社員が退職することで企業が負担する 金銭的・時間的・組織的損失の総称です。
特にメンタル不調離職では、 休職期間のコスト+退職後のコストが重なるため深刻です。
メンタル不調離職で発生する主なコスト

1. 採用コスト
退職者が出ると補充採用が必要です。 求人広告、紹介料、採用担当の工数を含めると、 1人あたり数十万〜数百万円がかかります。
2. 育成コスト
新人が即戦力になるまでには時間が必要です。 OJT担当者の負担や教育期間の生産性低下もコストです。
3. 生産性損失(最も大きい)
メンタル不調による離職は突然起きやすく、 業務が止まり、周囲が穴埋めすることになります。
- 引き継ぎ不足
- 残業増加
- チーム全体の疲弊
この生産性損失が最も大きなダメージです。
4. 休職期間のコスト
休職中も社会保険料負担や代替要員の手配が必要です。 また復職調整にも人事・産業医の工数がかかります。
5. ハラスメント・訴訟リスク
メンタル不調離職が職場環境に起因する場合、 労災申請や訴訟につながる可能性があります。 これは企業にとって重大なリスクです。
6. 組織の士気低下
「また辞めた」「守られない職場だ」 という空気が広がると、 残った社員のモチベーションが下がり、 離職が連鎖します。
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離職コストはどれくらいか

一般に社員1人が離職すると、 年収の1〜2倍程度の損失になると言われます。
例えば年収500万円の社員なら、 500万〜1000万円規模の損失です。
管理職や専門職ならさらに大きくなり、 数千万円規模になることもあります。
企業が取るべき対策

1. 早期相談体制の整備
不調が深刻化する前に相談できる仕組みが重要です。 産業医・EAPの活用が有効です。
2. 管理職教育(放置を防ぐ)
初動対応が遅れると離職につながります。 管理職の役割を明確にします。
3. 復職支援と再発防止
段階復帰や職場調整を行い、 再休職・離職を防ぐことがコスト削減になります。
4. 職場環境改善
長時間労働、ハラスメント、孤立など 組織要因を放置しないことが本質的対策です。
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まとめ|メンタル離職は「経営コスト」である

メンタル不調による離職は、 個人の問題ではなく企業の経営損失です。
採用・育成・生産性損失・訴訟リスクを含めると、 離職コストは年収の1〜2倍以上に達します。
早期支援と職場改善に投資することが、 最も合理的なコスト削減策になります。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら
本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
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