メンタル不調を理由に評価を下げていいのか

職場でよく起きる難しい問題の一つが、 「メンタル不調の社員の評価を下げてよいのか」 というテーマです。
結論から言えば、 病気そのものを理由に評価を下げることは原則として不適切です。 一方で、業務遂行が困難で成果が出ない場合に、 評価が影響を受ける場面は現実に存在します。
重要なのは、 「病気への差別」ではなく「業務実態に基づく評価」 になっているかどうかです。
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メンタル不調=評価を下げてよい、ではない

うつ病や適応障害などのメンタル不調は医療的問題です。 これを理由に不利益を与えると、 差別的取扱いや安全配慮義務違反と見なされる可能性があります。
- 「うつだから昇進させない」
- 「休職したから評価を下げる」
- 「精神疾患は信用できない」
こうした扱いは極めてリスクが高い対応です。
評価が影響を受けるのはどんな場合か

一方で、会社の評価制度は「成果・行動・能力」に基づくものです。 メンタル不調によって業務遂行が困難になれば、 結果として評価が下がることはあり得ます。
ポイントは「病名」ではなく「業務実態」
- 業務が完遂できない
- 遅刻・欠勤が増え勤務が継続できない
- 周囲への負担が大きくなっている
- 求められる職務を果たせていない
ただしこの場合も、 適切な配慮や支援を行った上での評価 であることが必要です。
会社が絶対に避けるべき評価の下げ方

1. 休職したこと自体を減点する
休職は治療のための制度です。 休職=マイナス評価とすると制度が機能しなくなります。
2. 診断名で判断する
「うつ病だから無理」といった判断は差別的です。 必要なのは就業可能性の評価です。
3. 配慮なしで成果だけを求める
配置転換や業務軽減など合理的配慮を行わずに 「成果が出ないから低評価」は揉めます。
4. 評価理由を説明できない
後から説明できない評価は紛争の原因になります。 記録と根拠が重要です。
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実務として正しい評価対応の考え方

1. 評価は「業務遂行状況」に基づける
病気ではなく、職務の達成度・行動評価を基準にします。
2. 配慮と支援をセットで行う
産業医面談、業務調整、段階復帰などを行った上で判断します。
3. 復職後すぐの評価は慎重に
復職直後はパフォーマンスが戻らないことが普通です。 短期評価で切り捨てると再休職につながります。
4. 本人へのフィードバックを丁寧に行う
「病気だから」ではなく 「業務上こういう課題がある」と説明することが重要です。
5. 人事単独で判断せず産業医と連携する
医学的視点と労務的視点を統合するために、 産業医の関与は不可欠です。
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まとめ|評価は可能だが「病気を理由にする」のは危険

メンタル不調を理由に評価を下げることは原則として不適切です。 ただし業務遂行状況に基づく評価が結果として下がることはあり得ます。
重要なのは、 差別ではなく業務実態に基づくこと、 そして合理的配慮と支援を尽くした上で判断することです。
評価対応を誤ると紛争・離職・訴訟リスクにつながるため、 必ず産業医や専門家と連携しながら慎重に進めましょう。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら
本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。
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