人事が絶対にやってはいけない声かけ

〜「悪気はない」が一番危ない。メンタル不調・休職・復職・ハラスメント局面で炎上するNGワード集〜

人事の不適切な声かけがメンタル不調やトラブルを招くことを示すイメージ
「悪気はない一言」が、休職・復職やハラスメント対応を一気にこじらせます。
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はじめに:人事の一言が、回復も信頼も壊す

仕事や職場対応について考え悩むビジネスパーソンのイメージ画像
判断に迷う場面こそ、冷静な視点と専門的な助言が求められます

人事は「会社の代表」として受け取られやすく、たった一言が従業員の受け止め方を大きく変えます。 とくにメンタル不調、休職、復職、配置転換、ハラスメント相談などの局面では、 正論・励まし・確認のつもりが、相手には責め・否定・脅しとして刺さることがあります。

この記事では、人事が“絶対に避けたい”声かけを具体例で示し、代わりに使える言い換えもセットで紹介します。

結論:NG声かけの共通点は「評価」「断定」「圧」

  • 評価:頑張りが足りない/甘えなどのレッテル
  • 断定:原因を決めつける/治った前提で話す
  • :期限・退職・処分を匂わせる/孤立させる

人事の目的は「正しさの確認」ではなく、事実整理と安全な支援導線づくりです。

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【場面別】人事が絶対に言ってはいけない声かけ(NG→OK言い換え)

職場の課題やメンタルヘルスの気づきを象徴する電球のイメージ画像
職場での「気づき」や判断の重要性を象徴するイメージ

1)メンタル不調を申告されたとき

NG①「気の持ちようでしょ」「みんな大変だよ」

なぜ危険?否定・矮小化になり、相談の入り口が閉じます。

OK例:「話してくれてありがとうございます。今の状態をもう少し教えてください。会社としてできることを整理します。」

NG②「原因は上司?仕事?どっちが悪いの?」

なぜ危険?犯人探しに見え、本人が防衛的になります。

OK例:「今困っていることを、事実ベースで整理しましょう。負担が大きい点から一緒に見立てます。」

NG③「病院行って薬飲めば治るよ」

なぜ危険?単純化で不信感が生まれます。

OK例:「受診の有無はご本人の判断ですが、必要なら受診や産業医面談の選択肢を案内します。」

準主幹記事(あわせて読みたい)
メンタル不調を理由とした休職・復職・就業可否の判断について、 企業が迷いやすいポイントを産業医の実務視点で整理した準主幹記事です。 主治医意見書の読み方や再発防止の考え方も解説しています。

2)休職の相談・診断書が出たとき

NG④「本当に休職が必要?甘えてない?」

なぜ危険?診断や症状の否定で二次被害になり得ます。

OK例:「診断書の内容を踏まえて、就業継続が安全か一緒に確認します。必要な手続きも案内します。」

NG⑤「いつ治るの?いつ戻れるの?」(詰問口調)

なぜ危険?回復は揺れます。期限で追い込むと悪化しやすいです。

OK例:「現時点の見通しはどうですか?次の確認のタイミング(例:2〜4週後)を一緒に決めましょう。」

NG⑥「診断書出すなら主治医にこう書いてもらって」

なぜ危険?医師への誘導はトラブルの火種になります。

OK例:「必要な情報(就業可否・配慮事項)が分かる書式があるので、可能なら主治医に確認いただけますか。」

3)休職中の連絡(フォロー)のとき

NG⑦「みんな困ってるよ。早く戻って」

なぜ危険?罪悪感で悪化し、復職が遠のきます。

OK例:「体調を最優先にしてください。会社側の手続きや連絡頻度は負担にならない形で調整します。」

NG⑧「連絡がないなら就業規則上〜」

なぜ危険?脅しに聞こえ、対話が切れます。

OK例:「連絡が負担なら頻度を下げます。最低限、次回の確認日だけ決められますか。」

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4)復職判定・復職面談のとき

NG⑨「もう治ったんだよね?大丈夫だよね?」

なぜ危険?“治った前提”で同調圧力がかかります。

OK例:「復職後に負担が上がるので、無理が出ない働き方を一緒に設計しましょう。」

NG⑩「前みたいにフルでやれるよね?」

なぜ危険?再休職の引き金になりやすい質問です。

OK例:「最初は段階的に戻す前提で考えます。勤務時間・業務量・在宅の可否を整理します。」

NG⑪「復職できないなら退職も考えて」

なぜ危険?退職強要と受け取られやすく、紛争化します。

OK例:「復職の条件を満たすために、会社として用意できる選択肢(軽減・配置転換など)を検討します。」

5)ハラスメント相談を受けたとき

NG⑫「証拠あるの?」「あなたにも非があるんじゃない?」

なぜ危険?被害申告の抑止になります。

OK例:「話してくれてありがとうございます。まずは事実を時系列で整理し、会社としての対応手順を説明します。」

NG⑬「大ごとにしないで穏便に」

なぜ危険?隠蔽・口止めに見えます。

OK例:「プライバシーに配慮しつつ、必要な調査と再発防止は行います。進め方を共有します。」

主幹記事(あわせて読みたい)
休職者対応だけでなく、未然防止や再発予防、職場環境の調整まで含めた企業のメンタルヘルス対策について、 産業医の実務視点からわかりやすく解説しています。

人事が“言葉選び”で迷ったときの鉄則

メンタル不調への対応を仕組み化することで、組織が改善していく様子を示した上向き矢印の図
メンタル対応を「コスト」ではなく「投資」として設計した企業ほど、組織は回復していきます
  • 断定しない:「〜だよね?」ではなく「〜という理解で合っていますか」
  • 評価しない:「甘え」ではなく「困りごと」「負担」「症状」
  • 期限で追い込まない:確認日は設定しても、回復を期限化しない
  • 手続きと支援を分ける:就業規則の話は淡々と、支援は別で丁寧に
  • 記録する:日時・内容・合意事項(連絡頻度、次回面談日)

すぐ使える:安全な声かけテンプレ(コピペOK)

  • 「話してくれてありがとうございます。今の状態を把握し、会社としてできる選択肢を整理します。」
  • 「負担にならない連絡頻度で進めたいです。連絡手段と頻度の希望はありますか?」
  • 「復職は段階的に戻す前提で考えます。無理が出ない条件を一緒に決めましょう。」
  • 「プライバシーに配慮しつつ、必要な事実確認と再発防止は進めます。手順を説明します。」
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まとめ

職場における思いやりや配慮、メンタルヘルス支援を象徴するハートのイメージ画像
従業員への配慮や支援の姿勢が、職場の安心感につながります

人事の声かけは「正しいこと」よりも「安全に前へ進むこと」が目的です。 否定・断定・圧を避け、事実整理と支援導線を丁寧に作るだけで、 休職の長期化や紛争化、再休職を大きく減らせます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別事案は就業規則・労使慣行・医療状況により判断が異なります。

この記事の執筆者

Dr.Y(精神科医・産業医)

国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。 その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、 統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など 幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、 復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、 組織改善支援を行っている。

※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。

企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。

社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。

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