人事が「もう辞めたい」と思う瞬間トップ10

人事は一見すると“管理部門”ですが、実際には感情の板挟み、制度運用、現場調整、法的リスク対応を同時に背負いやすい立場です。
特にメンタル不調対応、休職復職対応、ハラスメント対応、評価や処遇の調整が重なると、外から見えにくい形で疲弊が進みます。
そして限界が来る時、人事担当者の中では「もう辞めたい」という感情がかなり現実的なものになります。
この記事では、人事が「もう辞めたい」と思いやすい瞬間トップ10を整理し、その背景にある構造も実務目線で解説します。
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なぜ人事は辞めたくなりやすいのか

人事が疲弊しやすいのは、単純に忙しいからだけではありません。大きいのは、責任は重いのに、権限や理解が不十分なまま矢面に立たされやすいことです。
- 現場からは面倒ごとの受け皿にされる
- 本人からは会社の顔として見られる
- 経営からは結果を求められる
- 制度不備のしわ寄せを最後に受ける
つまり、人事が辞めたくなる瞬間は、その人の弱さではなく、会社の構造的な歪みが表面化する瞬間でもあります。
人事が「もう辞めたい」と思う瞬間トップ10

1. 現場が何もせず、人事に全部丸投げしてくる時
最も消耗しやすいのがこれです。本来は上司が持つべき日常管理や一次対応まで、「人事案件だから」で全部流れてくると、人事は無限に仕事が増えます。
しかも現場は当事者意識を持たず、結果だけに文句を言うことが多く、人事からするとかなり苦しい構図になります。
2. ルールがないのに、公平な判断だけ求められる時
就業規則、休職復職基準、配慮の範囲、評価ルールが曖昧なのに、「公平にやってください」と言われる場面です。
基準がないまま正解だけ求められると、人事は毎回“自分の判断”で背負わされることになります。これは相当きついです。
3. 本人・上司・経営の三方向から別々の要求が来る時
本人は配慮を求める、上司は現場が回らないと訴える、経営は前例を作るなと言う。こうした三方向の要求が同時に来ると、人事はどちらに寄っても誰かの不満を受けます。
この“誰を向いても怒られる感じ”が続くと、かなり消耗します。
4. 丁寧に対応したのに、最後に悪者扱いされる時
面談、記録、産業医調整、現場説明まで丁寧にやっても、最終的に「冷たい」「会社側だ」「人事のせいだ」と言われることがあります。
特に、不利益に見える決定を伝える役は人事になりやすいため、制度の欠陥まで人事個人の責任として受け止められがちです。
5. 産業医も上司も経営も、都合のいい時だけ人事を使う時
判断が必要な時は人事に任せ、問題化した時だけ「なぜ人事はこうしたのか」と責められる構造です。
役割分担が曖昧な会社ほど、人事は“実務担当”でありながら“責任者”のように扱われやすく、このズレが離職感情につながります。
6. 同じ説明を何度もさせられる時
診断書の取り扱い、休職制度、復職条件、配慮の範囲、賞与・昇給の扱いなど、同じことを何度も何度も説明する場面があります。
しかも記録やテンプレがない会社では、そのたびにゼロから説明し直すことになり、地味にかなり疲れます。
7. 例外対応ばかり増えて、前例が地雷になる時
「今回は特別に」「この人だけは例外で」と積み重ねると、次の案件で必ず前例比較が始まります。
人事からすると、その時の事情で苦労して出した判断が、後から“なぜ前回と違うのか”という地雷になって返ってきます。これが続くと、制度整備されていない会社に強い徒労感を持ちます。
8. 記録を残していないせいで、後から全部ひっくり返る時
面談の記録がない、会社決定が曖昧、確認メールもない。すると後から「そんなことは聞いていない」「言われていない」「約束したはずだ」となります。
この時、人事はその場にいたのに証明できないという最悪の状態になります。実務担当者ほど、この瞬間にかなり心が折れます。
9. 自分だけが休日や夜も気にしてしまう時
メンタル不調案件やハラスメント案件は、時間外でも頭から離れにくいです。急変、欠勤、家族連絡、退職示唆などが起こると、人事は無意識にずっと仕事モードになります。
業務時間の長さより、気持ちが仕事から切れない状態の方が燃え尽きに直結しやすいです。
10. 「これ、誰の仕事なんだろう」と思いながら全部やっている時
一番危ないのはここかもしれません。現場の仕事、産業保健の仕事、法務判断、感情処理、連絡調整、制度説明を全部人事が持っていると、途中で「なぜ自分がここまでやっているのか」が分からなくなります。
役割の境界が消えた時、人事は“仕事が多い”ではなく“終わりが見えない”感覚になります。これが辞めたい気持ちを強くします。
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このトップ10に共通するもの

ここまでを見ると共通点ははっきりしています。人事が辞めたくなるのは、本人の根性不足ではなく、役割・基準・記録・連携の設計が弱い会社です。
特に次の4つが揃うとかなり危険です。
- 役割分担が曖昧
- ルールが後追い
- 記録が弱い
- 例外対応が常態化
人事が辞めたくならないために会社がやるべきこと

1. 一次対応は上司、人事は制度運用に戻す
現場で持つべき業務と、人事が持つべき業務を切り分けます。これだけでかなり変わります。
2. 休職・復職・配慮・評価のルールを先に決める
個別判断を減らし、人事が“その場で決める人”にならない仕組みが必要です。
3. 面談後の確認メールと記録を標準化する
同じ説明の繰り返しと後日のひっくり返しを減らせます。
4. 産業医・社労士・法務につなぐ基準を決める
全部を人事一人で抱えないための判断ラインが必要です。
5. 例外対応を“美徳”にしない
優しさで回すほど、人事が壊れます。再現できる運用に落とし込むことが重要です。
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まとめ

人事が「もう辞めたい」と思う瞬間トップ10は、結局どれも人事個人の問題ではなく、会社の設計不良が人事に集中した瞬間です。
人事が疲弊する会社は、人事が弱い会社ではありません。役割、制度、連携、記録が曖昧な会社です。
実務で強い会社は、人事に頑張らせる会社ではなく、人事が辞めたくならないように仕事を設計している会社です。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
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本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
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