メンタル不調社員を解雇できるケース・できないケース

メンタル不調の社員を解雇できる場合とできない場合の判断基準を整理した図
メンタル不調を理由とした解雇は原則できず、条件がそろった場合のみ例外的に認められます

メンタル不調の社員への対応で、企業が最も悩むのが「解雇できるのかどうか」です。
結論から言えば、ほとんどのケースで解雇はできません
ただし、条件がそろえば合法的に解雇できるケースも存在します。
本記事では、現場で実際に問題になる判断ラインを整理します。

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結論:メンタル不調だけでは解雇できない

メンタル不調や診断名(うつ病・適応障害など)を理由にした解雇は、原則として無効です。
これは労働契約法・判例で明確にされています。

解雇できないケース(ほとんどがここ)

仕事や職場対応について考え悩むビジネスパーソンのイメージ画像
判断に迷う場面こそ、冷静な視点と専門的な助言が求められます

① 病気を理由にした解雇

メンタル不調そのものを理由にした解雇は、原則NGです。

② 休職中・治療中

休職制度の範囲内であれば、解雇はほぼ認められません。

③ 配慮・配置転換を検討していない

安全配慮義務を尽くさずに解雇すると、無効になる可能性が高いです。

④ 記録が残っていない

面談・指導・配慮の記録がなければ、企業側が不利になります。

⑤ 産業医の関与がない

医学的判断を経ずに解雇すると、合理性が否定されやすくなります。

準主幹記事(あわせて読みたい)
メンタル不調を理由とした休職・復職・就業可否の判断について、 企業が迷いやすいポイントを産業医の実務視点で整理した準主幹記事です。 主治医意見書の読み方や再発防止の考え方も解説しています。

解雇できる可能性があるケース(かなり限定的)

① 長期間にわたり就業不能が継続

休職期間満了後も回復の見込みがなく、就業不能が医学的に明らかな場合。

② 配置転換・軽減措置を尽くしても不可能

企業側が可能な配慮をすべて尽くした上で、就業が困難な場合。

③ 休職制度が終了している

就業規則に基づき、手続きを正しく踏んだ場合。

④ 業務上重大な支障が継続

ミス・事故・対人トラブルなどが継続し、業務に重大な支障が出ている場合。

⑤ 産業医意見・主治医意見が一致している

「就業不能」の医学的意見が明確に出ているケース。

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よくある危険な誤解

職場の課題やメンタルヘルスの気づきを象徴する電球のイメージ画像
職場での「気づき」や判断の重要性を象徴するイメージ

「診断書があるから解雇できない」

診断書があっても、就業不能が長期化すれば別です。

「会社が困っているから解雇できる」

会社の事情だけでは、解雇は正当化されません。

「解雇しないと会社が守れない」

実際は、手順を踏まない解雇こそ会社を危険にします

解雇ではなく、まず検討すべき選択肢

産業医や人事担当者が就業判断のために書類を確認・記入している様子
就業判断や配置転換では、記録と手順の整理が重要です。
  • 業務軽減・配置転換
  • 休職制度の活用
  • 復職支援プログラム
  • 産業医面談の活用
  • 主治医連携

産業医が関与すると判断が整理される理由

産業医が社員の話を丁寧に聞き、面談を行っている様子
早めに相談することで、問題は大きくなりません。

産業医は、医学的・職務的・法的観点をつなぐ存在です。
感情や場当たり的判断を防ぎ、企業を守る手順を作れます。

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まとめ|解雇は「最後の最後の手段」

職場における思いやりや配慮、メンタルヘルス支援を象徴するハートのイメージ画像
従業員への配慮や支援の姿勢が、職場の安心感につながります

メンタル不調社員の解雇は、ほとんどのケースでリスクが高く、
手順を誤ると裁判・紛争につながります。
正しい順番を踏むことが、最終的に会社と社員の両方を守ります。

主幹記事(あわせて読みたい)
休職者対応だけでなく、未然防止や再発予防、職場環境の調整まで含めた企業のメンタルヘルス対策について、 産業医の実務視点からわかりやすく解説しています。

解雇判断で迷ったら、必ず専門家に相談を

・解雇してよいか分からない
・休職が長期化している
・本人が復職できない状態が続いている
・管理職が限界

こうしたケースは、産業医が関与することで安全に整理できます。

この記事の執筆者

Dr.Y(精神科医・産業医)

国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。 その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、 統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など 幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、 復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、 組織改善支援を行っている。

※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。

企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。

社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。

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