休職中の副業は認められる?

メンタルヘルス不調などで休職している社員が、副業を行っていることが分かり、対応に悩む企業は少なくありません。「仕事を休んでいるのに副業をしているのは問題ではないか」と考えられることがありますが、休職中の副業は一律に禁止されるものではなく、就業規則や休職理由、副業の内容などを踏まえて個別に判断する必要があります。企業は感情的に対応するのではなく、療養への影響や就業規則との関係を整理しながら慎重に対応することが重要です。
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休職中の副業は一律に禁止ではない

休職中であることだけを理由に、副業が必ず問題になるとは限りません。企業によっては就業規則で副業を認めている場合もあり、休職中について特別な規定を設けているケースもあります。また、副業の内容によって身体的・精神的な負荷は大きく異なります。そのため、まずは自社の就業規則や副業規程を確認し、休職中の取り扱いがどのようになっているかを整理することが必要です。
休職理由との整合性が重要
副業が問題となるかどうかを考える際には、休職理由との整合性が重要になります。例えば、長時間の勤務が困難で休職している社員が、同程度の負荷がかかる副業を継続している場合には、療養との整合性について確認が必要になることがあります。一方で、短時間の軽作業や趣味に近い活動であり、主治医の治療方針とも矛盾しない場合には、一概に問題とはいえません。副業という事実だけで判断するのではなく、その内容や負荷を確認することが重要です。
副業と就業能力は同じではない

短時間の副業ができることと、通常勤務を継続できることは同じではありません。副業では自分の体調に合わせて休憩や時間調整ができる場合がありますが、本来の業務では決められた勤務時間や責任、対人対応が求められます。そのため、「副業ができるなら復職できるはず」と単純に判断することは適切ではありません。復職可否は、生活リズム、通勤、集中力、疲労の程度などを総合的に確認する必要があります。
問題となる可能性があるケース
休職中の副業が問題となる可能性があるのは、会社へ説明している病状や療養状況と著しく矛盾している場合や、就業規則で禁止されている副業を無断で行っている場合です。また、副業によって療養が妨げられ、回復が遅れていることが明らかな場合にも、企業として対応を検討する必要があります。ただし、事実確認を行わずに懲戒処分などを判断することは避けるべきです。
会社はまず事実確認を行う

副業が疑われる場合には、「副業をしているそうですね」と決めつけるのではなく、まず本人へ現在の生活状況や活動内容を確認します。本人から説明を受け、副業の内容、頻度、時間、療養への影響などを整理したうえで判断することが重要です。インターネット上の情報や第三者からの話だけで結論を出すことは避けるべきです。
産業医との連携が重要
副業の内容が療養へ影響しているかどうかは、企業担当者だけでは判断が難しい場合があります。そのため、必要に応じて産業医面談を行い、現在の体調や生活状況、副業による負荷などを確認します。産業医は、医学的な観点から療養や復職準備への影響を評価し、企業へ就業上必要な意見を伝えます。企業が治療内容そのものを判断することは避けるべきです。
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主治医への確認が必要な場合

副業と療養状況との整合性について医学的な確認が必要な場合には、本人の同意を得たうえで主治医へ情報提供や照会を行うことがあります。企業が本人の同意なく詳細な治療内容を確認することは適切ではありません。照会する内容も、就業判断に必要な範囲へ限定することが重要です。
収入目的だけで判断しない

休職中に副業を行う背景には、収入減少への不安がある場合もあります。傷病手当金や給与の減額によって生活が苦しくなり、副業を考える社員もいます。企業としては、副業の事実だけを見るのではなく、休職制度や傷病手当金などの利用状況も含めて状況を把握することが望まれます。ただし、経済的事情があるからといって、療養に支障のある副業まで認められるわけではありません。
SNSだけで判断しない
SNSへ仕事をしている様子が投稿されていたとしても、その投稿だけで副業の実態や継続性は判断できません。過去の写真や一時的な活動である可能性もあります。企業はSNSを証拠として即座に判断するのではなく、まず本人へ確認し、必要に応じて客観的な情報を整理することが重要です。
企業は感情的な対応を避ける

休職中に副業をしていたことが分かると、「休めるなら働けるはずだ」という感情的な反応になりやすい場合があります。しかし、企業が確認すべきことは、副業の有無ではなく、就業規則との関係、療養への影響、復職判断への影響です。本人への確認では、一方的に非難するのではなく、事実に基づいて冷静に話を進めることが大切です。
これまでの産業医経験を踏まえて

これまで産業医として相談を受けた中では、「副業をしているので復職できるのではないか」という相談がありました。しかし、実際に面談すると、自宅で短時間の作業を自分の体調に合わせて行っていただけで、通勤や長時間勤務にはまだ耐えられない状態だったケースもありました。一方で、休職理由と矛盾するような高負荷の副業を継続していたケースでは、療養状況や就業規則との整合性について慎重な確認が必要になったこともあります。副業という一つの事実だけではなく、仕事内容や療養状況、勤務能力を総合的に評価することが重要だと感じています。
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まとめ

休職中の副業は、一律に認められるものでも禁止されるものでもなく、就業規則、休職理由、副業内容、療養状況などを踏まえて個別に判断する必要があります。企業は副業という事実だけで復職可否や懲戒処分を判断するのではなく、まず本人への事実確認を行い、必要に応じて産業医や主治医と連携することが重要です。療養への影響と就業能力を分けて考え、客観的な事実に基づいて対応することが、適切な休職管理につながります。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら
本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
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