復職運用と人事|人事担当者が押さえておきたい役割と実務上のポイント

休職していた社員が復職する際、人事は本人、上司、主治医、産業医など複数の関係者をつなぐ立場になります。復職日を決めるだけではなく、診断書の受領、復職前面談、就業上の配慮、上司への情報共有、復職後のフォローまで、一連の流れを調整する必要があります。特にメンタルヘルス不調では、本人が「もう働ける」と話していても、実際の業務負荷に耐えられるかどうかは別に確認する必要があります。本記事では、復職運用における人事の役割と、実務上注意したいポイントを産業保健の視点から解説します。
最短当日|単発オンライン面談
▶ 最短当日の面談相談はこちら従業員の休職・復職対応に不安がある企業様へ。 最短当日、全国対応の単発オンライン面談を、複数企業のメンタルヘルス支援を行う代表医師が直接実施します。 料金は1回税別5万円で、追加費用はかかりません。 休職・復職支援、就業可否判断、ストレスチェック後面談、嘱託産業医の選任など、お気軽にご相談ください。
人事は復職運用全体の調整役になる

復職支援では、本人だけでなく直属上司、主治医、産業医など複数の関係者が関与します。それぞれが異なる立場から情報を持っているため、人事が全体の流れを整理することが重要です。
誰が何を確認し、どの段階で次の判断へ進むのかを明確にしておくと、復職運用が安定しやすくなります。
診断書を受け取っただけで復職を決めない
主治医から「復職可能」と記載された診断書が提出されても、その時点で自動的に復職が決まるわけではありません。主治医が会社の具体的な仕事内容や勤務条件まで把握しているとは限らないためです。
人事としては、必要に応じて復職前面談や産業医面談を設定し、実際の仕事に戻れる状態かを確認する流れを整えておくことが重要です。
復職前面談の日程と流れを整える
復職前には、本人の生活リズム、通勤可能性、治療状況、復職後の希望、不安などを確認します。産業医面談を実施する企業では、事前に診断書や仕事内容など必要な情報を整理しておくと、より実務的な評価につながります。
人事は、本人へ必要な提出物や面談の流れを説明し、手続きが滞らないよう調整する役割を担います。
仕事内容を産業医へ具体的に伝える

産業医が就業可否を検討するためには、本人の病状だけでなく、実際にどのような仕事へ戻るのかという情報が必要です。
勤務時間、残業、夜勤、出張、対人対応の程度、運転業務、責任の大きさなどを整理して伝えることで、就業上の配慮を具体化しやすくなります。
本人の希望と会社の判断を分ける
復職時には、本人から「異動したい」「在宅勤務を続けたい」「この業務は避けたい」などの希望が出ることがあります。
本人の意向を聞くことは重要ですが、その希望が医学的に必要な配慮なのか、本人自身の希望なのかは分けて考える必要があります。人事は産業医の意見も参考にしながら、会社として実施可能な対応を整理します。
就業配慮を具体的な運用へ落とし込む
「無理をさせない」「業務負荷に配慮する」といった抽象的な内容だけでは、直属上司は具体的にどう対応すればよいか分かりません。
残業禁止、出張制限、担当業務の調整、責任範囲の軽減など、実際のマネジメントに反映できる内容へ整理することが人事の重要な役割です。
最短当日|単発オンライン面談
▶ 最短当日の面談相談はこちら従業員の休職・復職対応に不安がある企業様へ。 最短当日、全国対応の単発オンライン面談を、複数企業のメンタルヘルス支援を行う代表医師が直接実施します。 料金は1回税別5万円で、追加費用はかかりません。 休職・復職支援、就業可否判断、ストレスチェック後面談、嘱託産業医の選任など、お気軽にご相談ください。
上司へ必要な情報を共有する

復職者の詳細な病名や治療内容を上司へ伝える必要はありません。一方で、勤務時間の制限や残業の可否、避けるべき業務など、日常の管理に必要な情報は共有する必要があります。
健康情報の保護と、適切な業務管理の両方を意識して共有範囲を決めることが重要です。
上司に対応を丸投げしない
復職後の日常的な勤務状況を見るのは直属上司ですが、復職支援全体を上司だけに任せると負担が大きくなります。
上司は勤怠や業務遂行状況を確認し、人事は制度運用と調整、産業医は健康面の評価を行うなど、役割を分けることが重要です。
復職直後の業務量を確認する
勤務時間だけを調整しても、仕事内容や担当案件数が休職前と同じであれば、実際の負荷が十分に下がらないことがあります。
人事は直属上司と連携し、復職時に想定していた業務量が実際に守られているかを確認することも必要です。
復職後のフォロー面談を設定する

復職した時点で人事対応を終了すると、体調悪化への気付きが遅れることがあります。復職後2週間、1か月など、一定の時期にフォローの機会を設ける方法があります。
問題が起きた社員だけを面談するのではなく、あらかじめ確認時期を設定しておくと、本人も相談しやすくなります。
就業配慮の見直し時期を管理する
残業禁止や業務軽減などの配慮を設定しても、見直し日が決まっていなければ、そのまま長期間続くことがあります。
「1か月後に再評価する」「次回産業医面談で見直す」など、配慮の開始時点で次回確認日を決めておくと運用が安定します。
配慮を一度に解除しない
一定期間勤務できたからといって、すべての就業制限を一度に解除すると、急激に業務負荷が増えることがあります。
業務量、責任、残業などを段階的に戻し、その都度状態を確認する方法が現実的です。人事は上司や産業医と連携しながら、通常勤務への移行を調整します。
本人の「大丈夫」をそのまま判断材料にしない

復職者は「もう迷惑をかけられない」と考え、不調があっても「大丈夫です」と話すことがあります。
本人の申告だけでなく、遅刻や欠勤、業務遂行状況、上司からの情報なども確認し、必要に応じて産業医面談へつなげることが重要です。
人事が医学的な判断をする必要はない
人事担当者が本人と面談する中で、「この状態なら働かせてもよいのか」と迷うことがあります。しかし、医学的な就業可否を人事だけで判断する必要はありません。
健康上の判断に迷う場合には産業医へ相談し、人事は制度運用や会社として可能な配慮の整理に集中する方が役割分担として明確です。
主治医との情報連携が必要な場合もある
主治医の診断書だけでは判断材料が不足している場合には、本人の同意を得たうえで、必要な就業情報について追加確認することがあります。
その際には、会社として何を知りたいのかを整理し、産業医とも相談しながら必要最小限の情報を依頼します。
再休職した場合には運用も振り返る

復職後に再び休職となった場合、「本人の体調が戻っていなかった」と整理するだけでは十分ではありません。
復職後に業務量が急増していなかったか、就業配慮が守られていたか、フォロー面談が行われていたかなど、会社側の運用も振り返ることが重要です。
人事担当者の変更でも運用が変わらない仕組みにする
休職・復職対応が特定の担当者の経験に依存している企業では、担当者が変わると対応方法も変わりやすくなります。
復職前の確認事項、産業医へ渡す情報、上司への共有事項、フォロー時期などを一定程度標準化しておくことで、担当者によるばらつきを減らせます。
復職制度を複雑にしすぎない
人事として制度を整えようとすると、細かな規程や書類が増えてしまうことがあります。しかし、現場で運用できなければ十分に機能しません。
最低限、誰が、いつ、何を確認し、問題があれば誰へ相談するのかが分かる仕組みにすることが重要です。
これまでの産業医経験を踏まえて

これまで産業医としてさまざまな企業の休職・復職対応に関わってきましたが、復職運用が安定している企業では、人事が「すべてを判断する」のではなく、「必要な人を適切なタイミングでつなぐ」役割を担っていることが多い印象があります。例えば、本人の体調について人事だけで判断せず産業医へつなぎ、産業医から出た就業上の意見を直属上司が実行できる形へ整理し、その後の勤務状況を再び人事が集約するという流れです。一方で、復職後は上司任せになり、数か月後に再休職して初めて負荷が上がりすぎていたことが分かるケースもあります。実務上は、復職時点で「誰が次に、いつ確認するのか」を決めておくだけでも運用は大きく安定します。人事が関係者をつなぐ中心となることが、継続的な復職支援には重要だと感じています。
最短当日|単発オンライン面談
▶ 最短当日の面談相談はこちら従業員の休職・復職対応に不安がある企業様へ。 最短当日、全国対応の単発オンライン面談を、複数企業のメンタルヘルス支援を行う代表医師が直接実施します。 料金は1回税別5万円で、追加費用はかかりません。 休職・復職支援、就業可否判断、ストレスチェック後面談、嘱託産業医の選任など、お気軽にご相談ください。
まとめ

復職運用における人事の役割は、診断書を受け取り復職日を決めることだけではありません。本人、上司、主治医、産業医との間で必要な情報を整理し、就業上の配慮を実際の職場運用へ落とし込み、復職後のフォローまで調整することが重要です。特に、就業配慮の見直し時期や次回面談日をあらかじめ決めておくことで、復職後の状態変化を早期に把握しやすくなります。人事が医学的判断まで抱え込まず、上司や産業医と適切に役割を分担することが、再休職を防ぎ、安定した就業継続につながります。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら
本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。
お問い合わせはこちら※ご相談内容により、返信までお時間をいただく場合があります。

