休職中のNG対応とは?企業が避けたい連絡や面談の進め方

休職中の社員に対して企業が避けるべきNG対応を示すイメージ
休職中は、復職の催促や過度な連絡を避け、本人が治療と休養に専念できるよう配慮することが重要です。

社員がメンタルヘルス不調などで休職した場合、会社には必要な手続きを進めながら、本人が治療と休養に専念できるよう配慮する役割があります。しかし、本人を心配する気持ちや早期復職を期待するあまり、頻繁に連絡する、病状を詳しく聞き出す、復職時期を繰り返し確認するといった対応をすると、かえって本人の負担を強めることがあります。休職中の社員への対応では、何をすべきかだけでなく、何をしてはいけないのかを社内で共有しておくことが重要です。

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復職時期を繰り返し確認する

仕事や職場対応について考え悩むビジネスパーソンのイメージ画像
判断に迷う場面こそ、冷静な視点と専門的な助言が求められます

休職中の社員に対して、「いつ戻れますか」「来月には復職できますか」と繰り返し尋ねることは避ける必要があります。本人も復職時期を明確に答えられないことが多く、質問されるたびに焦りや罪悪感が強くなる可能性があります。また、休職期間の満了や人員配置の都合を理由に復職を急がせると、十分に回復していない状態で本人が復職を希望し、再休職につながることもあります。復職時期は本人の希望だけで決めるのではなく、主治医の診断書、産業医面談、実際の業務内容や職場の受け入れ体制を踏まえて判断します。

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頻繁に電話やメールを送る

産業医が解説する管理職がやってはいけないメンタル不調対応
メンタル不調対応では「良かれと思った行動」が逆効果になるケースがあります。

休職者の状況を確認することは必要ですが、短期間に何度も電話をかけたり、返信がないたびにメールを送ったりすると、本人が監視されているように感じることがあります。メンタルヘルス不調の状態では、会社からの着信やメールを見るだけで不安が強くなり、返信内容を考えること自体が負担になる場合もあります。休職開始時に連絡窓口、連絡方法、頻度を本人と確認し、緊急時を除いて突然の電話を避けることが望まれます。連絡する際には、返信期限に余裕を持たせ、次回の連絡予定も伝えておくとよいでしょう。

病状や治療内容を必要以上に聞く

会社が確認すべきなのは、休職手続きや就業上の判断に必要な範囲です。診断名、服薬内容、過去の病歴、通院時の詳しい会話、家庭内の事情などを必要以上に聞き出すことは適切ではありません。「どの薬を飲んでいるのか」「なぜ病気になったのか」と質問しても、企業担当者が治療の妥当性を判断できるわけではなく、本人にとっては私生活へ過度に踏み込まれたと感じる可能性があります。治療内容は主治医が担当し、会社は診断書や産業医の意見を踏まえて、休職の継続や復職後の配慮を検討するという役割分担が基本です。

「元気そうだから働ける」と判断する

職場の課題やメンタルヘルスの気づきを象徴する電球のイメージ画像
職場での「気づき」や判断の重要性を象徴するイメージ

面談で会話ができること、買い物や旅行に行けること、趣味を楽しめることだけを理由に、就業できる状態と判断することはできません。外出や短時間の活動は本人のタイミングで休憩できますが、仕事では決められた時間に出勤し、対人関係や責任を伴う業務を継続する必要があります。そのため、「遊びには行けるのになぜ仕事はできないのか」「面談では元気そうだった」と本人を責めたり、復職を迫ったりすることは避けるべきです。復職可能性は生活リズム、集中力、疲労の程度、通勤負担、業務遂行能力などを総合的に確認して判断します。

業務連絡や引き継ぎを繰り返し求める

休職開始直後に最低限の引き継ぎが必要となる場合はありますが、休職中の社員へ継続的に業務上の質問をしたり、資料作成や取引先対応を求めたりすることは適切ではありません。休職は労務提供を免除し、治療と休養に専念するための期間です。「少し確認するだけ」「本人にしか分からない」という理由で連絡を重ねると、実質的に仕事を続けさせる状態となり、回復を妨げる可能性があります。休職開始後の業務は、原則として職場側で引き継ぎ、本人への確認は真に必要な事項に限定します。

複数の担当者から個別に連絡する

直属の上司、人事担当者、同僚、経営者などがそれぞれ本人へ連絡すると、同じ説明を何度も求められたり、会社全体から追及されているように感じたりすることがあります。休職中の連絡窓口は原則として一人または一つの部署にまとめ、上司や同僚から連絡する必要がある場合も、事前に担当者間で調整することが望まれます。善意による励ましのメッセージであっても、本人の状態によっては返信の負担や職場への罪悪感につながるため、本人の希望を確認せずに同僚から連絡させることは避けたほうがよいでしょう。

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本人の同意なく病状を社内で共有する

産業医や人事担当者が就業判断のために書類を確認・記入している様子
就業判断や配置転換では、記録と手順の整理が重要です。

診断書や産業医面談で得られた健康情報は、慎重な取り扱いが必要です。直属の上司や同僚へ診断名、治療内容、家庭事情などを必要以上に伝えることは避け、業務管理上必要となる休職期間や連絡時の注意点、復職後の配慮事項などに限定して共有します。また、「○○さんはうつ病で休んでいる」と職場内で不用意に話すと、本人のプライバシーを侵害し、復職後の職場関係にも影響する可能性があります。誰にどの情報を伝える必要があるのかを整理し、閲覧できる担当者も必要最小限にすることが重要です。

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本人からの返信がないことをすぐに責める

判断に悩み頭を抱える企業担当者と人事担当者のイメージ
対応で判断に迷い、頭を抱える企業担当者。対応ルールがないとトラブルにつながることもあります。

休職者から返信がない場合でも、直ちに連絡拒否や規則違反と判断するべきではありません。体調が悪くメールを確認できない、文章を作成できない、会社からの連絡に強い不安を感じているといった可能性があります。まずは必要な連絡事項と返信してほしい内容を簡潔に伝え、余裕を持った期限を設定します。それでも連絡が取れず、本人の安全や休職手続きへの影響が懸念される場合には、これまでの連絡経過を記録したうえで、緊急連絡先や家族への確認を段階的に検討します。

主治医の診断書だけで対応を決める

産業医が社員の話を丁寧に聞き、面談を行っている様子
早めに相談することで、問題は大きくなりません。

主治医の診断書は休職や復職を検討するうえで重要な資料ですが、診断書に記載された短い内容だけで、会社がすべての対応を決めることは適切ではありません。主治医は本人の治療経過を把握している一方で、実際の業務内容、職場環境、通勤負担、残業や出張の有無などを十分に把握していないことがあります。主治医から復職可能とする診断書が提出された場合も、産業医面談を通じて勤務継続の可能性や必要な就業上の配慮を検討することが望まれます。反対に、会社側だけの判断で主治医の意見を無視することも避ける必要があります。

休職期間満了の直前まで説明しない

休職期間中はほとんど連絡をせず、満了直前になって突然、復職申請や退職に関する説明を行うと、本人の不安を大きくする可能性があります。休職開始時に休職可能な期間、診断書の提出期限、復職手続き、期間満了時の取り扱いを説明し、その後も必要な時期に再確認することが重要です。就業規則に定めがあるという理由だけで機械的に処理するのではなく、本人が手続きの流れを理解できるよう、書面やメールで具体的に伝えておくことが望まれます。

これまでの産業医経験を踏まえて

メンタル不調への対応を仕組み化することで、組織が改善していく様子を示した上向き矢印の図
メンタル対応を「コスト」ではなく「投資」として設計した企業ほど、組織は回復していきます

これまで産業医として休職中の社員と面談していると、企業側は状況確認のつもりであっても、本人は復職を迫られていると感じていたケースがあります。また、上司が励ますつもりで頻繁に連絡し、本人が返信しなければならないという負担から会社の通知を見ることも難しくなっていたケースもありました。一方で、配慮を意識するあまり会社から長期間連絡がなく、本人が見放されたと受け止めていたこともあります。休職中の対応では、連絡をするかしないかの二択ではなく、誰が、何の目的で、どの方法と頻度で連絡するのかを事前に整理することが重要です。本人の治療を会社が管理しようとせず、必要な労務手続きと復職支援に役割を限定することで、過度な介入を防ぎながら適切な関係を維持しやすくなります。

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まとめ

職場における思いやりや配慮、メンタルヘルス支援を象徴するハートのイメージ画像
従業員への配慮や支援の姿勢が、職場の安心感につながります

休職中のNG対応には、復職時期を繰り返し確認すること、頻繁に電話やメールを送ること、病状を必要以上に聞くこと、外出できることを理由に就業可能と判断することなどがあります。また、休職者へ業務を求めることや、健康情報を社内で不用意に共有することも避けなければなりません。企業は本人が治療と休養に専念できるよう配慮しながら、必要な手続きや連絡を計画的に行うことが大切です。対応に迷う場合には、人事担当者や上司だけで判断せず、産業医、主治医、必要に応じて社会保険労務士などと連携して進めることが望まれます。

この記事の執筆者

Dr.Y(精神科医・産業医)

国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。 その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、 統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など 幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、 復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、 組織改善支援を行っている。

※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。

企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。

社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。

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