休職中のトラブルとは?企業が知っておきたい事例

休職中に起こりやすいトラブルと企業の対応を示すイメージ
休職中のトラブルは、事前のルール作りと丁寧なコミュニケーションによって予防できる場合があります。

メンタルヘルス不調などで社員が休職すると、療養そのものだけではなく、会社との連絡、診断書の提出、復職時期、SNS、副業など、さまざまなトラブルが発生することがあります。多くのトラブルは、企業と本人の認識の違いや情報共有不足から生じており、初期対応を誤ると復職支援にも影響を及ぼします。企業は感情的に対応するのではなく、就業規則や医学的な視点を踏まえながら、一つずつ整理して対応することが重要です。

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会社との連絡が取れなくなる

仕事や職場対応について考え悩むビジネスパーソンのイメージ画像
判断に迷う場面こそ、冷静な視点と専門的な助言が求められます

休職中によくみられるトラブルの一つが、会社からの電話やメールへ返信がなくなるケースです。本人に悪意があるとは限らず、うつ病などでは返信する気力そのものが低下している場合があります。休職開始時から連絡方法や頻度を決め、返信が難しい場合の対応についても共有しておくことで、多くのトラブルは予防できます。

診断書の提出が遅れる

判断に悩み頭を抱える企業担当者と人事担当者のイメージ
対応で判断に迷い、頭を抱える企業担当者。対応ルールがないとトラブルにつながることもあります。

休職の継続や復職判断には診断書が必要となることが多くあります。しかし、受診できなかったり、会社への提出が負担となったりして、提出が遅れるケースもあります。会社は提出期限を明確に伝えるとともに、提出が難しい理由も確認しながら対応することが重要です。診断書が提出されないという結果だけで、直ちに懲戒処分などを検討することは避けるべきです。

復職を急ぎすぎる

本人が収入や周囲への罪悪感から早期復職を希望することがあります。一方で、会社側も人員不足などから早く復帰してほしいと考える場合があります。しかし、生活リズムや通勤、集中力などが十分に回復していない段階で復職すると、再休職につながる可能性があります。復職時期は本人の希望だけではなく、主治医や産業医の意見も踏まえて判断することが重要です。

SNS投稿を巡るトラブル

産業医が解説する管理職がやってはいけないメンタル不調対応
メンタル不調対応では「良かれと思った行動」が逆効果になるケースがあります。

休職中の旅行や外食などがSNSへ投稿され、「元気そうなのに休職している」と問題になることがあります。しかし、SNSだけで療養状況や就業能力を判断することはできません。企業は投稿だけで結論を出さず、必要な場合には本人へ事実確認を行い、医学的な評価と分けて考える必要があります。

副業が発覚するケース

職場の課題やメンタルヘルスの気づきを象徴する電球のイメージ画像
職場での「気づき」や判断の重要性を象徴するイメージ

休職中に副業を行っていることが分かり、会社が対応に悩むことがあります。副業は一律に問題となるわけではありませんが、就業規則や休職理由との整合性を確認する必要があります。副業ができることと通常勤務が可能であることは同じではないため、仕事内容や負荷を個別に評価することが重要です。

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メンタル不調を理由とした休職・復職・就業可否の判断について、 企業が迷いやすいポイントを産業医の実務視点で整理した準主幹記事です。 主治医意見書の読み方や再発防止の考え方も解説しています。

会社と本人の認識が食い違う

本人は「体調が悪く返信できなかった」と考えていても、会社は「無視された」と受け止めることがあります。また、会社は状況確認のつもりで連絡していても、本人は復職を急かされていると感じることがあります。このような認識の違いは、休職開始時の説明や定期的なフォロー面談によって防げる場合があります。

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家族との連携が必要になることもある

産業医や人事担当者が就業判断のために書類を確認・記入している様子
就業判断や配置転換では、記録と手順の整理が重要です。

長期間連絡が取れない場合や病状悪化が疑われる場合には、本人が事前に同意している範囲で家族へ状況確認を行うことがあります。ただし、本人の同意なく病状などの健康情報を詳細に共有することは適切ではありません。家族への連絡は、安全確認や事務手続きなど必要最小限にとどめることが重要です。

産業医へ相談するタイミング

産業医が社員の話を丁寧に聞き、面談を行っている様子
早めに相談することで、問題は大きくなりません。

休職中のトラブルでは、人事担当者だけで判断することが難しい場面も少なくありません。診断書の内容と実際の状況が一致しない場合や、復職判断に迷う場合、会社との関係が悪化している場合などは、産業医面談を活用することで、医学的な視点を踏まえた対応を検討しやすくなります。

トラブルを防ぐために会社ができること

メンタル不調への対応を仕組み化することで、組織が改善していく様子を示した上向き矢印の図
メンタル対応を「コスト」ではなく「投資」として設計した企業ほど、組織は回復していきます

休職開始時に休職制度、診断書の提出方法、連絡方法、復職までの流れを丁寧に説明しておくことが重要です。また、定期的なフォロー面談を行い、本人が不安や疑問を相談できる環境を整えることで、大きなトラブルへ発展することを防ぎやすくなります。制度だけではなく、本人との信頼関係を維持する姿勢も大切です。

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休職者対応だけでなく、未然防止や再発予防、職場環境の調整まで含めた企業のメンタルヘルス対策について、 産業医の実務視点からわかりやすく解説しています。

これまでの産業医経験を踏まえて

青空と緑豊かな木々が広がる自然風景。働く人の健康や職場環境、メンタルヘルスをイメージした画像。
働く人が安心して力を発揮できる職場づくりには、心身の健康と良好な職場環境が大切です。

これまで産業医として休職者の支援を行っていると、大きなトラブルの多くは、病状そのものではなく、会社と本人のコミュニケーション不足から生じていました。連絡方法や診断書の提出時期、復職までの流れを休職開始時に共有できていた企業では、休職期間中も落ち着いて対応できることが多くありました。一方で、説明不足のまま時間が経過すると、本人は会社への不信感を抱き、会社は「協力してもらえない」と感じるなど、双方の認識が大きくずれてしまうケースも経験しています。休職管理では制度だけではなく、継続的なコミュニケーションが非常に重要だと感じています。

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まとめ

職場における思いやりや配慮、メンタルヘルス支援を象徴するハートのイメージ画像
従業員への配慮や支援の姿勢が、職場の安心感につながります

休職中には、連絡、診断書、復職時期、SNS、副業など、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。しかし、多くは事前のルール作りや丁寧な情報共有によって防ぐことができます。企業は感情的な対応を避け、本人の病状や心理にも配慮しながら、必要に応じて産業医や主治医と連携し、適切な休職管理を進めることが重要です。

この記事の執筆者

Dr.Y(精神科医・産業医)

国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。 その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、 統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など 幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、 復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、 組織改善支援を行っている。

※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。

企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。

社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。

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