休職開始面談の議事録

従業員がメンタル不調や体調不良により休職を開始する際には、会社が休職開始面談を実施することがあります。その際、面談内容を議事録として残しておくことは、後のトラブル防止や適切な労務管理のために重要です。
一方で、議事録には必要以上に病状や私生活を記載しないことも大切です。健康情報は慎重に取り扱うべき情報であり、記録する内容や共有範囲には十分な配慮が求められます。
この記事では、休職開始面談の議事録に記載すべき内容、文例、作成時の注意点について、産業医の実務も踏まえて解説します。
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休職開始面談の議事録を作成する目的

議事録は単なる面談記録ではありません。会社と本人の認識を整理し、休職中の対応を円滑に進めるための重要な資料です。
会社と本人の認識を一致させる
休職開始日、休職期間、診断書の提出期限、会社との連絡方法、復職手続きなどを記録することで、「説明を受けていない」「聞いていない」といった認識の違いを防ぎやすくなります。
休職中の対応を引き継ぎやすくする
担当者が異動した場合でも、議事録があれば休職開始時の説明内容や本人との約束事項を確認できます。
会社の対応を記録として残す
会社が休職制度について適切に説明し、必要な案内を行ったことを記録として残しておくことは、実務上も重要です。
議事録に記載すべき内容

休職開始面談では、次のような項目を記録しておくと実務上役立ちます。
面談の基本情報
- 面談日時
- 面談場所
- 面談方法(対面・オンライン)
- 本人氏名
- 所属部署
- 出席者
診断書の確認事項
診断書の提出日、療養期間、就業に関する記載内容など、会社が手続き上必要となる事項を記録します。
診断書を全文転記する必要はありません。会社の判断に必要な内容を要約する程度で十分です。
本人から確認した内容
- 現在の体調
- 通院状況
- 次回受診予定
- 療養に専念する予定であること
- 会社への要望
本人の発言は「本人より○○との申告あり」と記録し、会社が事実として断定しないよう注意します。
会社から説明した内容
- 休職開始日
- 休職期間
- 給与・社会保険の取扱い
- 傷病手当金
- 会社との連絡方法
- 診断書更新
- 復職手続き
説明した内容は後から確認できるよう、議事録へ残しておくことが望ましいでしょう。
議事録の文例
休職開始面談議事録
日時:令和○年○月○日 10:00~10:30
場所:会議室A
出席者:本人、人事担当○○、産業医○○
本人より診断書が提出された。診断書には○週間程度の療養が必要との記載があることを確認した。
会社より、休職開始日、休職期間、休職中の給与の取扱い、傷病手当金、診断書更新、会社との連絡方法、復職手続きについて説明した。
本人より、療養に専念する予定であり、会社との連絡はメールを希望する旨の申出があった。
次回の診断書提出期限および会社からの連絡予定日を説明し、本人も了承した。
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議事録に書かない方がよい内容

議事録には何でも記録すればよいわけではありません。
詳細な病歴
過去の精神疾患や家族歴など、休職手続きに不要な内容まで記録する必要はありません。
服薬内容
薬剤名や用量などは、人事担当者が管理する情報ではありません。必要があれば産業医が確認します。
主観的な評価
「やる気がない」「暗い印象だった」などの主観は避けます。 「返答まで数十秒要した」「涙ぐむ様子があった」など、客観的事実で記録することが重要です。
議事録作成時の注意点

事実と意見を分ける
本人の発言、会社の説明、産業医の意見を混在させず、それぞれ区別して記録します。
健康情報の共有範囲を限定する
議事録は、人事担当者や産業保健スタッフなど、業務上必要な者のみが閲覧できるよう管理します。
面談後できるだけ早く作成する
時間が経過すると内容が曖昧になります。可能であれば当日中に作成することが望ましいでしょう。
産業医面談を実施した場合の記録

産業医が同席した場合には、医学的評価を詳細に書く必要はありません。
例えば、「産業医より現時点では療養継続が望ましいとの意見あり」「復職判断は療養後に改めて行う予定」といった形で十分です。
産業医意見書が別に作成されている場合には、議事録へすべて転記する必要はありません。
議事録を作成するときによくある失敗

会話をすべて記録してしまう
議事録は会話録ではありません。重要事項を要約し、手続き上必要な内容を整理することが大切です。
会社が説明した内容を書いていない
本人の発言だけではなく、会社が何を説明したかも必ず残します。
今後の予定を書いていない
診断書提出期限や次回連絡予定日など、今後のスケジュールも記載しておくと実務で役立ちます。
これまでの産業医経験を踏まえた実務上のポイント

これまで産業医として多くの休職開始面談に関わってきましたが、実務上は「病状を書くこと」よりも、「会社と本人で何を確認し、何を説明したか」を明確に残すことの方が重要だと感じています。
実際には、後から問題になるのは病名ではなく、「診断書の提出期限を説明したか」「復職手続きを案内したか」「誰が連絡窓口になるのか」といった手続き面であることが少なくありません。
また、議事録は人事担当者だけでなく、後任担当者や産業医が確認することもあります。そのため、主観的な評価ではなく、客観的な事実を簡潔に整理しておくことが、結果として本人・会社双方にとって有益な記録になると考えています。
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まとめ

休職開始面談の議事録には、面談日時、出席者、休職開始日、診断書の概要、会社から説明した事項、連絡方法、診断書提出期限、復職手続きなどを記録します。
一方で、詳細な病歴や服薬内容、私生活に関する情報、主観的な評価を必要以上に記載することは避けるべきです。
事実と本人の発言、会社の説明、産業医意見を区別しながら整理することで、実務でも活用しやすく、後から見返しても分かりやすい議事録になります。


