復職前面談の役割とは?企業が知っておきたい目的

復職前面談が担う役割と職場復帰支援をイメージした画像
復職前面談は復職可否の確認だけでなく、本人と会社が安全な職場復帰に向けて準備する重要な機会です。

休職していた社員が職場へ戻る際、重要な役割を果たすのが復職前面談です。復職前面談というと、「復職できるかどうかを確認する面談」と考えられがちですが、それだけが目的ではありません。本人の健康状態や勤務能力を確認するとともに、復職後に必要な配慮を整理し、会社と本人の認識をすり合わせる役割があります。適切な復職前面談を行うことは、円滑な職場復帰だけでなく、再休職を防ぐためにも重要です。本記事では、復職前面談が担う役割について実務的な視点から解説します。

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復職できる状態かを確認する役割

仕事や職場対応について考え悩むビジネスパーソンのイメージ画像
判断に迷う場面こそ、冷静な視点と専門的な助言が求められます

復職前面談の基本的な役割は、本人が実際に仕事を再開できる状態かを確認することです。主治医から復職可能の診断書が提出されていても、生活リズムや体力、集中力などが十分に回復しているとは限りません。面談を通じて勤務継続の可能性を確認します。

診断書だけでは分からない情報を確認する

主治医の診断書は重要な判断材料ですが、具体的な勤務状況までは記載されていないことがあります。起床時間、日中の活動量、通勤練習の状況などを確認することで、実際の職場生活へ戻れる準備が整っているかを把握できます。

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本人の復職への不安を確認する3

職場の課題やメンタルヘルスの気づきを象徴する電球のイメージ画像
職場での「気づき」や判断の重要性を象徴するイメージ

復職を希望していても、本人が仕事や人間関係、再発について不安を抱えている場合があります。復職前面談には、こうした不安を言葉にしてもらい、会社側が把握する役割もあります。本人が安心して話せる雰囲気づくりが大切です。

仕事内容との適合性を確認する

「体調が改善したこと」と「現在の仕事を遂行できること」は必ずしも同じではありません。集中力が必要な業務、対人負担の大きい業務、夜勤や出張を伴う業務など、職種によって必要な能力は異なります。実際の仕事内容と現在の状態を照らし合わせることが重要です。

復職を急ぎすぎていないか確認する

産業医が解説する管理職がやってはいけないメンタル不調対応
メンタル不調対応では「良かれと思った行動」が逆効果になるケースがあります。

経済的な理由や職場への申し訳なさから、本来必要な療養期間より早く復職しようとする社員もいます。復職前面談には、本人の希望だけでなく、客観的に勤務を続けられる状態かを確認し、無理な復職を防ぐ役割があります。

必要な就業上の配慮を整理する

短時間勤務、残業制限、出張制限、業務量の調整など、復職直後には一定の配慮が必要になる場合があります。復職前面談で具体的な配慮事項を整理しておけば、本人だけでなく、受け入れる管理職も対応しやすくなります。

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本人と会社の認識をすり合わせる

産業医や人事担当者が就業判断のために書類を確認・記入している様子
就業判断や配置転換では、記録と手順の整理が重要です。

本人は「すぐ通常勤務へ戻りたい」と考えていても、会社側は段階的な復帰が必要と考えていることがあります。逆に、本人が配慮を希望していても会社側が把握していないケースもあります。復職前面談は、双方の認識を整理する場としても重要です。

産業医の医学的意見につなげる

産業医が復職前面談を行う場合、本人の健康状態と仕事内容を踏まえて、就業可能性や必要な配慮について医学的な意見を企業へ伝えることができます。企業だけでは判断しにくいケースでは、産業医の関与が復職判断の客観性を高めます。

受け入れ部署の準備につなげる

産業医が社員の話を丁寧に聞き、面談を行っている様子
早めに相談することで、問題は大きくなりません。

復職前面談で確認した配慮事項は、必要な範囲で上司や人事担当者と共有します。復職初日から担当する業務や残業の扱いなどを事前に整理しておけば、現場での混乱を防ぎやすくなります。

復職後の支援計画を作る役割

復職前面談は、復職日を決めるだけの場ではありません。復職後の面談時期や、就業制限をいつ見直すのか、体調が悪化した場合に誰へ相談するのかまで整理しておくことで、継続した支援につながります。

再休職を予防する役割

デスクに置かれた聴診器とパソコン周辺機器。産業医による健康管理やメンタルヘルス支援、職場の健康づくりをイメージした画像。
産業医による健康管理やメンタルヘルス対策は、働く人が安心して働ける職場づくりにつながります。

復職直後は環境の変化による負担が大きくなりやすい時期です。事前に本人の負担要因を確認し、必要な支援を準備することで、無理な働き方を避けることができます。復職前面談は再休職予防の第一歩ともいえます。

復職判断の経緯を明確にする

面談で確認した内容や産業医の意見、決定した配慮事項などを記録しておくことも重要です。後から判断経緯を確認できるほか、担当者が変わった場合にも支援内容を引き継ぎやすくなります。

これまでの産業医経験を踏まえて

青空と緑豊かな木々が広がる自然風景。働く人の健康や職場環境、メンタルヘルスをイメージした画像。
働く人が安心して力を発揮できる職場づくりには、心身の健康と良好な職場環境が大切です。

これまで産業医として多くの復職前面談を行ってきましたが、復職前面談の役割は単純な「復職可否の判定」だけではないと感じています。実際には、本人がどこまで回復しているのかを確認し、仕事内容との適合性を考え、会社と本人の間にある認識のずれを調整することが重要です。面談では「大丈夫です」と話していても、具体的に生活状況を聞くと朝の起床が安定していなかったり、復職後の仕事へ強い不安を抱えていたりすることもあります。一方で、こうした点を事前に整理し、必要な配慮とフォロー計画を会社と共有できたケースでは、比較的安定した復職につながることが多くありました。復職前面談は、本人と会社が安全な職場復帰への準備を一緒に行う場として活用することが重要です。

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まとめ

職場における思いやりや配慮、メンタルヘルス支援を象徴するハートのイメージ画像
従業員への配慮や支援の姿勢が、職場の安心感につながります

復職前面談には、復職可能性を確認するだけでなく、本人の不安を把握し、仕事内容との適合性や就業上の配慮を検討し、会社と本人の認識をすり合わせる役割があります。さらに、復職後のフォロー計画まで事前に整理することで、再休職の予防にもつながります。復職前面談を単なる手続きにせず、安心して働き続けるための支援の場として活用することが大切です。

この記事の執筆者

Dr.Y(精神科医・産業医)

国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。 その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、 統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など 幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、 復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、 組織改善支援を行っている。

※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。

企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら

本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。

社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。

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