復職前面談の注意点|企業が押さえておきたい進め方

休職していた社員が職場復帰を希望する際、復職前面談は非常に重要な機会です。ただし、単に「体調は良くなりましたか」と確認するだけでは十分ではありません。面談の進め方によっては本人が必要な情報を話せなかったり、復職後の配慮が不十分になったりすることもあります。復職前面談では、現在の健康状態だけでなく、生活リズムや勤務能力、仕事内容との適合性、本人の不安、職場側の受け入れ体制まで幅広く確認することが重要です。本記事では、企業が復職前面談を実施する際の注意点について解説します。
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主治医の診断書だけで復職を決めない

主治医から「復職可能」と記載された診断書が提出されても、それだけで復職を決定するのは慎重であるべきです。主治医は治療経過を把握していますが、具体的な仕事内容や職場環境までは十分に把握していないことがあります。診断書を重要な資料の一つとして位置付け、実際の勤務能力も確認します。
現在の症状だけを確認しない
面談時に症状が落ち着いているからといって、直ちに勤務を継続できるとは限りません。睡眠、食事、日中の活動、疲労の程度など、日常生活全体が安定しているかを確認することが重要です。
生活リズムを具体的に確認する

起床時間や就寝時間が勤務日に合わせられているか、日中に継続して活動できているかを確認します。「生活リズムは整っています」という本人の回答だけでなく、実際の一日の過ごし方を聞くことで状態を把握しやすくなります。
通勤能力を見落とさない
出社勤務の場合、仕事そのものだけではなく毎日の通勤も負担になります。通勤練習を行っているか、実際の通勤時間帯に移動できているか、移動後に疲れ切ってしまわないかなどを確認することも大切です。
休職前と同じ業務ができるとは限らない

症状が改善していても、集中力や判断力、対人対応力などが十分に戻っていないことがあります。休職前の仕事内容を確認したうえで、現在の状態と業務上求められる能力が合っているかを検討する必要があります。
本人の「復職したい」という希望だけで判断しない
本人が強く復職を希望していても、その背景に経済的な事情や職場への申し訳なさがある場合があります。復職への意欲は重要ですが、焦りから無理をしていないかも確認し、客観的な状態と合わせて判断することが大切です。
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本人を追及するような質問を避ける
「なぜ休職するほど悪くなったのですか」「また休みませんよね」といった質問は、本人を萎縮させる可能性があります。復職前面談は責任を追及する場ではありません。安全に働き続けるために必要な情報を確認するという姿勢で面談を進めます。
必要以上に病名や私生活へ踏み込まない

企業が必要とするのは、病状の詳細そのものではなく、勤務可能性や必要な就業上の配慮です。健康情報はプライバシー性が高いため、復職判断や就業支援に必要な範囲を意識して確認することが重要です。
就業上の配慮を曖昧にしない
「しばらく無理をさせない」といった曖昧な対応では、現場で判断に迷います。残業禁止、出張制限、業務量の軽減など、必要な配慮をできるだけ具体化し、実施期間や見直し時期についても整理しておくと運用しやすくなります。
職場側の受け入れ準備も確認する

本人の復職準備が整っていても、上司が配慮内容を知らなかったり、担当業務が決まっていなかったりすると復職後に混乱します。必要な情報を適切な範囲で共有し、復職初日からどのように勤務するかを事前に決めておくことが重要です。
産業医の意見を活用する
復職可否や仕事内容との適合性について企業だけで判断することが難しい場合には、産業医面談を活用します。産業医は本人の健康状態だけでなく、仕事内容や職場環境も踏まえて就業上の意見を提示できるため、復職判断の客観性を高めることにつながります。
面談内容と判断経緯を記録する

本人から確認した内容、主治医の診断書、産業医の意見、就業上の配慮などは記録として残しておきます。後から経緯を確認できるだけでなく、担当者が変更された場合にも継続した支援を行いやすくなります。
復職後のフォローまで決めておく
復職前面談で復職日だけを決めて終わりにしないことも重要です。復職後は実際に働いてみて初めて分かる負担もあります。一定期間後に人事や産業医との面談を予定し、体調や業務負荷を確認できる仕組みを作っておきます。
これまでの産業医経験を踏まえて

これまで産業医として多くの復職前面談に関わってきましたが、注意したいのは「面談時に元気そうだから大丈夫」と判断してしまうことです。30分程度の面談では落ち着いて話せていても、実際には朝の起床が安定していなかったり、数時間活動すると強い疲労が出たりすることがあります。そのため、現在の症状だけではなく、生活リズム、日中の活動量、通勤状況、具体的な仕事内容まで確認するようにしています。また、復職後の配慮を事前に会社と整理していたケースでは、本人も上司も迷いが少なく、比較的安定して勤務を継続できることが多いと感じています。復職前面談は「復職できるか」だけではなく、「復職後に働き続けられるか」を考える場として活用することが重要です。
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まとめ

復職前面談では、診断書や現在の症状だけに頼らず、生活リズム、通勤能力、業務遂行能力、本人の不安、仕事内容との適合性などを総合的に確認する必要があります。また、本人を追及するような質問や必要以上の健康情報の収集を避け、就業上の配慮や職場側の受け入れ体制、復職後のフォローまで具体的に準備することが大切です。丁寧な復職前面談が、円滑な職場復帰と再休職の予防につながります。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら
本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。
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