復職後の再発とは?再休職を防ぐために企業が確認すべき

休職していた社員が職場へ復帰した後、企業側が最も気にすることの一つが「再発」や「再休職」です。復職可能と判断された時点で一定の回復は得られていても、実際の通勤や業務、人間関係が再開することで、休職中には見えなかった負担が表面化することがあります。特に復職直後は、本人が「もう休めない」「周囲に迷惑をかけたくない」と無理をしやすい時期でもあります。再発を完全に防ぐことはできませんが、早い段階で変化に気付き、業務負荷や就業上の配慮を見直すことで悪化を防げるケースもあります。本記事では、復職後の再発を防ぐために企業が押さえておきたいポイントを解説します。
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復職できたことと完全に回復したことは同じではない

復職可能という判断は、一定の条件のもとで勤務を再開できる状態であることを意味します。必ずしも休職前と同じ負荷で働ける状態まで回復しているとは限りません。復職直後は回復途中という前提で、勤務状況を確認することが重要です。
復職直後の頑張りすぎに注意する
本人が休職中の遅れを取り戻そうとして、仕事を必要以上に引き受けることがあります。本人が「問題ありません」と話していても、休憩を取らずに働いていたり、自主的に残業していたりすることがあります。復職初期は成果よりも安定した勤務を優先することが大切です。
睡眠の変化は重要なサインになる

再発の前に睡眠へ変化が現れることがあります。寝付きが悪くなる、夜中に目が覚める、朝起きられなくなるなどの変化が続く場合には注意が必要です。復職後の面談では、体調だけでなく睡眠や生活リズムも具体的に確認します。
遅刻や欠勤の増加を見逃さない
復職後に遅刻、早退、欠勤が増えてきた場合には、現在の業務負荷が本人の状態に合っていない可能性があります。単発の遅刻だけで判断する必要はありませんが、以前との変化が続いている場合には、早めに本人へ状況を確認することが重要です。
勤務後の疲労も確認する

定時まで勤務できているからといって、負荷が適切とは限りません。帰宅後に何もできないほど疲れている、休日をほぼ寝て過ごしているといった状態では、仕事による疲労を十分に回復できていない可能性があります。勤務外の状態も判断材料になります。
業務量が徐々に増えていないか確認する
復職時には業務を軽減していても、時間が経過すると周囲から仕事を頼まれ、いつの間にか休職前と同じ業務量へ戻っていることがあります。本人自身も断れない場合があるため、上司が担当件数や業務量を把握することが重要です。
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残業制限が形骸化していないか確認する
残業禁止や残業制限を設けていても、本人が自主的に残って仕事をしていたり、自宅でメール対応をしていたりすることがあります。残業制限は制度として設定するだけでなく、実際に守られているかを確認する必要があります。
人間関係による負担にも注意する

休職前に上司や同僚との関係がストレスになっていた場合、同じ環境へ戻ることで再び負担が強まることがあります。また、復職後に周囲から距離を置かれ、孤立感が強くなるケースもあります。体調だけでなく職場での人間関係も確認します。
配置や異動による環境変化も負担になる
復職時に配置転換を行うことで休職前の負担を避けられる場合があります。一方で、新しい仕事内容や人間関係への適応そのものが新たなストレスになることもあります。異動後も本人の状態を継続して確認する必要があります。
本人が不調を言い出せないことがある

「また休職したら会社に迷惑をかける」と考え、本人が不調を隠すケースがあります。そのため、本人から相談があるまで待つだけでは十分ではありません。企業側から定期的に状況を確認できる仕組みを作ることが重要です。
フォロー面談を早めに設定する
再発予防では、問題が大きくなってから面談するのではなく、復職後1〜2週間程度など早い段階で一度状態を確認することが有効です。その後も1か月、3か月など、本人の状態に応じて面談を継続します。
再発のサインを本人と共有しておく

本人自身が過去に体調を崩した際のサインを理解していることも重要です。睡眠の悪化、イライラ、集中力低下、遅刻の増加など、本人に特有の変化があれば、早めに相談する目安として共有しておくと対応しやすくなります。
産業医面談を活用する
本人の状態と仕事の負荷について企業だけでは判断しにくい場合には、産業医面談を活用します。産業医は健康状態、睡眠、勤務時間、業務量などを確認し、必要に応じて残業制限や業務量の調整などについて就業上の意見を示すことができます。
配慮は段階的に解除する

勤務が安定してきても、短時間勤務、残業制限、出張制限などを一度に解除すると負荷が急激に増える可能性があります。できるだけ一つずつ条件を変更し、その後の体調を確認しながら通常勤務へ戻すことが望まれます。
再発した場合に本人を責めない
体調が再び悪化した場合、「せっかく復職したのに」と本人を責めるような対応は避ける必要があります。再発の背景には業務負荷や職場環境、治療状況など複数の要因が関係することがあります。原因を整理し、必要な支援を再検討することが重要です。
これまでの産業医経験を踏まえて

これまで産業医として復職後のフォローに関わってきましたが、再発するケースでは、突然大きく悪化するというよりも、その前に小さな変化が出ていることが少なくありません。例えば、最初は問題なく勤務していたものの、徐々に睡眠時間が短くなり、週末をほぼ寝て過ごすようになったり、仕事量が増えて帰宅後の疲労が強くなったりすることがあります。また、本人が「大丈夫です」と話しているため会社側も安心していたものの、実際には周囲への遠慮から不調を言えなかったケースもあります。一方で、復職後早期から面談を行い、睡眠、疲労、勤怠、業務量を具体的に確認していたケースでは、大きく悪化する前に業務負荷を下げられることも多くありました。再発予防では、本人の意志の強さに頼るのではなく、小さな変化を拾える仕組みを企業側に作ることが重要だと感じています。
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まとめ

復職後の再発を防ぐためには、復職した時点で支援を終了せず、睡眠、勤怠、勤務後の疲労、業務量、人間関係などを継続的に確認することが重要です。また、残業制限などの配慮を適切に運用し、状態が安定した後も段階的に解除する必要があります。定期的なフォロー面談や産業医面談を活用し、小さな変化へ早めに対応することが、再休職の予防と安定した就業継続につながります。
この記事の執筆者
Dr.Y(精神科医・産業医)
国立大学医学部を卒業後、都内の基幹病院で初期研修を修了。
その後、首都圏の急性期精神科病院に勤務し、
統合失調症、双極性障害、うつ病、依存症、認知症など
幅広い精神疾患の診療に従事。
現在は複数企業の選任産業医として、
復職支援、メンタルヘルス不調者対応、労務トラブル予防、
組織改善支援を行っている。
※本記事は精神科医・産業医としての専門的知見に基づき執筆しています。 個人が特定されないよう配慮し、プライバシー保護を最優先としています。
企業のメンタルヘルス対応で、判断に迷ったら
本記事は一般的な考え方をまとめたものです。 休職・復職対応、産業医面談、職場配慮の判断は、 企業の状況や従業員の状態によって異なります。
社内だけで判断が難しい場合は、 精神科専門の産業医に相談することで、 リスクを抑えた対応が可能になるケースもあります。
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